新リース会計基準が与える影響は?企業が今すぐ準備すべきこと【最新版】

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「新リース会計基準」は、企業の財務状況や経営判断に大きな影響を与える重要な変更です。特に「オンバランス化」という原則が導入されることで、これまで貸借対照表に計上されなかったリース資産・負債が計上され、企業の財務諸表は大きく様変わりします。この記事では、新リース会計基準の基本から、貸借対照表や損益計算書、ROAやD/Eレシオといった経営指標への具体的な影響を徹底解説。さらに、現状のリース契約の洗い出し方、プロシップなどの会計システムを活用した効率的な対応、社内体制の構築といった、企業が今すぐ取り組むべき具体的な準備と対策を網羅的にご紹介します。本記事を読むことで、新リース会計基準への理解を深め、適用時期に焦らずスムーズに対応するためのロードマップを得られるでしょう。手遅れになる前に、適切な準備を進め、企業の持続的な成長に繋げるヒントを掴んでください。

目次

新リース会計基準とは何か その基本を理解する

2024年4月1日以後開始する事業年度から、日本企業に新たなリース会計基準が適用されます。この新基準は、従来のリース取引の会計処理を大きく見直すものであり、特に多くの企業が利用してきたオペレーティングリースの取り扱いに大きな変更をもたらします。本章では、この新リース会計基準がどのようなものなのか、その基本的な概念と背景、そして主要な変更点について詳しく解説し、企業が理解すべき基礎知識を提供します。

リース会計基準の変遷と導入の背景

リース会計基準は、企業の経済活動の実態をより正確に財務諸表に反映させるため、国際的な動向に合わせて常に進化してきました。日本におけるリース会計基準も、これまで数度の改正を経ていますが、今回の新基準は特にその影響範囲が広範にわたるとされています。

従来の日本のリース会計基準では、リース取引は主に「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」に分類されていました。ファイナンスリースの中でも、所有権が借り手に移転すると認められるリース(所有権移転ファイナンスリース)と、それ以外のリース(所有権移転外ファイナンスリース)があり、前者は資産・負債として計上されるオンバランス処理、後者も原則としてオンバランス処理が求められました。

一方、オペレーティングリースは、賃貸借取引として扱われ、原則として貸借対照表に資産や負債として計上されない「オフバランス処理」が許容されていました。これにより、企業は多額のリース契約を抱えていても、その負債が貸借対照表に現れないため、企業の借入金や負債比率などの財務指標が実態よりも良く見えるという問題が指摘されていました。投資家や債権者からは、企業の真の財務状況が見えにくいという批判があり、財務情報の透明性向上が求められていました。

このような状況に対し、国際会計基準審議会(IASB)は、2016年にIFRS第16号「リース」を公表し、原則としてすべてのリース契約をオンバランス化する方針を打ち出しました。これは、企業の財務実態をより透明にし、投資家がより適切な投資判断を行えるようにするためです。日本においても、国際的な会計基準との整合性を図る「コンバージェンス」の流れの中で、企業会計基準委員会(ASBJ)が企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」の改正を進め、国際的な基準に合わせた見直しが行われることになりました。これが、新リース会計基準導入の大きな背景となっています。

新基準の導入は、企業の財務情報の透明性を高め、実態に即した財務報告を求めるという、会計基準の基本的な理念を追求するものです。これにより、投資家はより正確な情報に基づいて企業の価値を評価できるようになります。

新リース会計基準の主要な変更点 オンバランス化の原則

新リース会計基準における最も重要かつ広範な影響を及ぼす変更点は、「オンバランス化の原則」です。これは、従来のオペレーティングリースを含め、ほとんどすべてのリース契約について、借り手企業がそのリース契約から生じる権利と義務を貸借対照表に計上することを義務付けるものです。

具体的には、借り手企業はリース開始日において、以下の2つの項目を貸借対照表に計上する必要があります。

  • 使用権資産(Right-of-use asset):リース契約に基づき、リース物件を使用する権利を表す資産。
  • リース負債(Lease liability):リース料の支払い義務を表す負債。

これにより、これまでオフバランスであったオペレーティングリース契約も、企業の貸借対照表に資産と負債として認識されることになります。この変更は、企業の財務諸表に大きな影響を与えるため、企業はリース契約の実態を正確に把握し、適切な会計処理を行う準備が求められます。

リース負債は、リース料総額を合理的に算定された割引率(多くの場合、借り手の追加借入利率)で現在価値に割り引いて算定されます。この割引率の選定は、リース負債の金額に大きな影響を与えるため、慎重な検討が必要です。使用権資産は、リース負債の当初測定額に、リース開始日までに支払ったリース料や当初直接費用などを加減して算定されます。

ただし、すべてのリース契約がオンバランス化されるわけではありません。新基準では、以下の例外規定が設けられています。

例外規定の種類 概要 会計処理
短期リース リース期間が12ヶ月以内のリース契約。 従来と同様に、リース料を費用処理(オフバランス処理)することが可能。
少額リース 個々のリース資産の価値が少額(例:新品の場合で5,000米ドル相当以下)のリース契約。 従来と同様に、リース料を費用処理(オフバランス処理)することが可能。

これらの例外規定は、実務上の負担を軽減するための措置であり、企業は自社のリース契約がこれらの条件に該当するかどうかを確認する必要があります。しかし、多くのリース契約、特に不動産や大型設備に関するリース契約は、このオンバランス化の原則の対象となります。

このオンバランス化の原則により、企業の貸借対照表には、使用権資産とリース負債が計上され、損益計算書には、使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用が計上されることになります。これは、従来のオペレーティングリースではリース料が一括して費用処理されていたのとは異なる会計処理であり、企業の財務諸表の見た目だけでなく、各種財務指標にも影響を与えることになります。したがって、企業はこれらの変更を深く理解し、適切な対応を講じる必要があります。

新リース会計基準が企業に与える具体的な影響

新リース会計基準の企業への主な影響 財務諸表への影響 貸借対照表 (B/S) オンバランス化 ・資産 (使用権資産) 計上 ・負債 (リース負債) 計上 損益計算書 (P/L) ・減価償却費の計上 ・支払利息の計上 ※初期の費用負担増の傾向 C/F計算書 ・営業CF 増加 ・財務CF 減少 ※元本返済が財務活動へ 経営指標への影響 ROA (総資産利益率) 低下傾向 分母(総資産)が増加するため D/Eレシオ (負債資本倍率) 悪化(上昇) 有利子負債が増加するため 業務プロセスへの影響 契約管理の複雑化 全てのリース契約の網羅的 な把握と詳細データの管理 (期間、割引率、残価保証等) 会計処理の負担増 現在価値の算出や、利息 配分計算などの専門的処理 システム対応 新基準対応の管理システム 導入や改修が不可欠 部門間連携・開示 事業・法務・経理の連携 注記情報の充実化

新リース会計基準の導入は、企業の財務諸表、経営指標、そして日々の業務プロセスに多岐にわたる具体的な影響をもたらします。特に、これまでのオフバランス処理が原則として認められなくなる「オンバランス化」が、企業の会計実務に大きな変革を迫ることになります。

財務諸表への影響 貸借対照表と損益計算書の変化

新リース会計基準によって、企業の財務諸表は大きく様変わりします。特に貸借対照表と損益計算書において、これまでオフバランスであったリース取引が計上されることで、企業の財政状態や経営成績の捉え方が変化します。

貸借対照表の変動

新基準では、原則としてすべてのリース契約(短期リースや少額リースを除く)について、「リース資産(使用権資産)」と「リース負債」を貸借対照表に計上することが求められます。これにより、これまで費用として処理されていたリース取引が資産と負債として認識されるため、貸借対照表の総資産と総負債が膨らむことになります。

具体的には、企業の固定資産が増加し、同時に有利子負債が増加する形となります。これは、企業の財政状態をより実態に即して表すことにつながりますが、同時に自己資本比率の低下など、財務健全性を示す指標に影響を与える可能性があります。

損益計算書の変動

従来のリース会計では、リース料は原則として「支払リース料」として費用処理されていました。しかし新基準では、リース資産の計上と同時に、そのリース資産の「減価償却費」と、リース負債にかかる「支払利息」を損益計算書に計上することになります。

この変更により、損益計算書における費用の認識パターンが変化します。特に、リース期間の初期段階では、利息部分が大きく計上されるため、従来の支払リース料と比較して費用計上額が大きくなる傾向があります。これは、企業の営業利益や経常利益に影響を与える可能性があります。

キャッシュフロー計算書の変動

キャッシュフロー計算書にも影響が生じます。旧基準では、支払リース料は原則として「営業活動によるキャッシュフロー」に含まれていました。しかし新基準では、リース負債の元本返済部分が「財務活動によるキャッシュフロー」に、利息の支払いは「営業活動によるキャッシュフロー」または「財務活動によるキャッシュフロー」(選択適用)に区分されることになります。

この結果、営業活動によるキャッシュフローが増加し、財務活動によるキャッシュフローが減少する傾向が見られます。これは、企業のキャッシュフローの構造を理解する上で重要な変更点となります。

これらの変更点をまとめると以下のようになります。

財務諸表項目 旧リース会計基準 新リース会計基準 主な影響
貸借対照表 原則オフバランス(所有権移転外ファイナンスリース以外) リース資産(使用権資産)とリース負債を計上(オンバランス化) 総資産・総負債の増加、自己資本比率の低下の可能性
損益計算書 支払リース料として費用計上 減価償却費と支払利息として計上 リース期間初期の費用増加、利益への影響
キャッシュフロー計算書 支払リース料は営業活動によるキャッシュフロー 元本返済は財務活動、利息は営業または財務活動によるキャッシュフロー 営業CF増加、財務CF減少の傾向

経営指標への影響 ROAやD Eレシオの変動

財務諸表の変動は、企業を評価する上で重要な経営指標にも直接的な影響を与えます。特に、企業の収益性や財務健全性を示す指標は、新リース会計基準によって数値が変化する可能性があります。

ROA(総資産利益率)への影響

ROA(Return On Assets:総資産利益率)は、「当期純利益 ÷ 総資産」で計算され、企業の総資産がいかに効率的に利益を生み出しているかを示す指標です。新基準により、リース資産が貸借対照表に計上されることで総資産が増加します。その結果、分子である当期純利益に大きな変化がない場合、ROAは低下する傾向にあります。これは、企業の収益性評価に影響を与える可能性があります。

D/Eレシオ(負債資本倍率)への影響

D/Eレシオ(Debt to Equity Ratio:負債資本倍率)は、「負債総額 ÷ 自己資本」で計算され、企業の財務レバレッジや健全性を示す指標です。新基準では、リース負債が貸借対照表に計上されることで負債総額が増加します。これにより、D/Eレシオは上昇する傾向にあります。D/Eレシオの上昇は、企業の財務健全性が悪化したと見なされる可能性があり、金融機関からの評価や資金調達条件に影響を及ぼすことも考えられます。

その他の経営指標への影響

上記以外にも、自己資本比率、有利子負債比率、固定比率など、さまざまな財務指標に影響が及びます。総負債の増加は、自己資本比率の低下を招き、企業の財務体質が悪化したと見られる可能性があります。これらの指標の変化は、投資家や金融機関、格付け機関など、企業の外部ステークホルダーによる評価に影響を与えるため、企業はこれらの変動を適切に説明し、理解を求める準備が必要となります。

業務プロセスへの影響 リース契約管理の重要性

新リース会計基準の適用は、経理部門だけでなく、設備投資を行う事業部門やIT部門など、企業全体の業務プロセスに大きな変更を迫ります。特に、リース契約の管理体制の強化が不可欠となります。

リース契約情報の詳細管理の必要性

新基準では、すべてのリース契約を識別し、その詳細な情報を継続的に管理することが求められます。これには、リース料の総額だけでなく、リース期間、リース開始日、リース終了日、残価保証の有無、割引率(または借入金利)、リース対象資産の種類など、多岐にわたるデータが必要となります。これらの情報を正確に把握し、一元的に管理する体制が不可欠です。

また、契約内容の変更や解約が発生した場合の会計処理も複雑になるため、契約変更履歴の管理や、それに伴う会計処理の迅速な実施が求められます。

会計処理プロセスの変更

従来のリース会計では、支払リース料を費用として計上する比較的シンプルな処理でした。しかし新基準では、リース契約ごとにリース資産(使用権資産)とリース負債を認識し、減価償却費と支払利息を計算するという、より複雑な会計処理が必要になります。これは、月次・年次の決算業務の負荷を増大させる可能性があります。

特に、リース負債の現在価値計算や、その後の利息配分、減価償却費の計算などは専門的な知識を要するため、経理部門の負担は大きくなります。

システム対応の必要性

複雑なリース契約の管理と会計処理を効率的かつ正確に行うためには、リース契約管理システムや会計システムの改修、または新たなシステムの導入が不可欠です。手作業での処理では、計算ミスや入力漏れのリスクが高まり、膨大な時間と労力がかかります。

リース契約のライフサイクル全体(契約締結から終了まで)をサポートし、自動で会計仕訳を生成できるようなシステムの導入は、業務効率化と正確性確保のために重要な投資となります。

社内連携と人材育成

新リース会計基準への対応は、経理部門だけで完結するものではありません。設備投資を決定する事業部門、契約内容を精査する法務部門、システムを管理するIT部門など、企業内の様々な部門との連携が強化される必要があります。各部門がリース契約に関する情報を適切に共有し、連携して対応を進めることが重要です。

また、新基準に関する知識を持つ人材の育成や、必要に応じて外部の専門家(公認会計士など)の活用も検討すべきでしょう。社内研修などを通じて、全社的な理解を深めることが円滑な移行には不可欠です。

開示情報の充実

新リース会計基準では、財務諸表の注記において、リースに関する詳細な情報を開示する義務があります。これには、リース資産の概要、リース負債の将来の支払額、減価償却費、支払利息、短期リースや少額リースの免除規定の適用状況などが含まれます。これらの開示情報の作成も新たな業務負担となり、投資家や金融機関に対する透明性の確保が求められます。

企業が今すぐ取り組むべき準備と対策

新リース会計基準への対応ロードマップ 1 現状の洗い出しと影響度分析 ● 契約の特定(埋込リース含む)と詳細情報の収集 ● オンバランス化対象の判定と財務インパクト試算 ● 財務制限条項(コベナンツ)への抵触可能性評価 2 会計方針の検討とシステム対応 ● 割引率・リース期間・簡便法適用の決定 ● リース管理システム(ProPlus等)の導入・改修 ● 自動計算機能と会計システム連携の確立 3 社内体制の構築と従業員への周知 ● 経理・事業・法務・情シスによる横断的チーム組成 ● 部門間の役割分担と責任範囲の明確化 ● 現場担当者への契約留意点・新フローの教育

新リース会計基準への対応は、単なる会計処理の変更にとどまらず、企業の財務戦略、経営指標、そして日々の業務プロセスにまで広範な影響を及ぼします。そのため、企業は適用開始に向けて、早期かつ計画的な準備と対策を講じることが不可欠です。

現状のリース契約の洗い出しと影響度分析

新基準への対応の第一歩は、現在企業が締結しているすべてのリース契約を詳細に把握し、その財務諸表への影響を分析することです。特に、これまでオフバランス処理されてきたリース契約がオンバランス化されることで、貸借対照表に計上される使用権資産とリース負債の規模が大きく変動する可能性があります。

具体的には、以下の項目について契約ごとに詳細な情報収集と分析が必要です。

  • 契約の特定: ファイナンスリース、オペレーティングリースだけでなく、サービス契約の中に含まれるリース要素(組み込みリース)も識別する必要があります。
  • 契約情報の収集: リース期間、リース料、残価保証の有無と金額、購入オプションの有無、更新オプションの有無とその条件など、契約書から詳細な情報を収集します。
  • オンバランス化の対象範囲の確認: 短期リース(リース期間が1年以内)や少額リース(個々の基礎となる資産の価値が重要性の低いもの)については、簡便法が適用できる場合があるため、その適用可否を検討します。
  • 財務インパクトの試算: 収集した情報に基づき、新基準適用後の使用権資産、リース負債、減価償却費、支払利息がどの程度計上されるかを試算します。これにより、貸借対照表の資産・負債の増加損益計算書の費用計上方法の変化を具体的に把握できます。
  • 既存の財務制限条項への影響評価: 借入契約などに含まれる財務制限条項(コベナンツ)において、負債比率や自己資本比率などが設定されている場合、新基準適用によりこれらの比率が悪化し、抵触する可能性がないか評価します。

会計方針の検討とシステム対応 プロシップなどの活用

新リース会計基準の適用にあたっては、企業独自の会計方針の決定と、それを効率的かつ正確に処理するためのシステム対応が不可欠です。

会計方針の検討

新基準では、特定の判断が企業に委ねられている部分があります。これらを自社の状況に合わせて決定する必要があります。

  • 割引率の決定: リース負債の現在価値を計算するために用いる割引率を決定します。原則として、リースに付されたインプリシット・レート(リースの内部利率)を使用しますが、これが容易に算定できない場合は、借手である企業の追加借入利率(インクリメンタル・ボローイング・レート)を使用することになります。この追加借入利率の算定方法は、金融機関との連携も視野に入れて慎重に検討する必要があります。
  • リース期間の決定: リース期間は、解約不能期間に加えて、借手がリースを更新する合理的な確実性がある期間や、購入オプションを行使する合理的な確実性がある期間を含めて決定します。この「合理的な確実性」の判断基準を明確にする必要があります。
  • 簡便法の適用判断: 短期リースや少額リースについて、簡便法を適用するかどうかを決定します。適用する場合は、その範囲と会計処理方法を明確にします。
  • 移行処理の選択: 新基準の適用初年度における移行処理方法(遡及適用か、簡便な方法か)を決定します。

システム対応の必要性と具体的なソリューション

リース契約のオンバランス化に伴い、リース負債の利息計算や使用権資産の減価償却計算が複雑化します。これらの処理を手作業で行うことは、膨大な工数とミスのリスクを伴うため、専用のリース管理システムの導入や既存会計システムの改修が強く推奨されます。

システム対応の主なポイントは以下の通りです。

  • リース契約情報のデータベース化: 契約内容、期間、リース料、割引率などを一元的に管理できるデータベースを構築します。
  • 自動計算機能: リース負債の現在価値、利息費用、使用権資産の減価償却費などを自動で計算できる機能が必要です。
  • 会計システムとの連携: リース管理システムで計算された仕訳データを、既存の会計システム(例: 勘定奉行、SuperStreamなど)へスムーズに連携できる仕組みを構築します。
  • 開示情報作成支援: 新基準で求められる注記情報(リース負債の満期分析など)の作成を支援する機能も重要です。

具体的なソリューションとしては、株式会社プロシップの「ProPlus®」をはじめ、多くのベンダーからリース会計基準に対応した固定資産管理システムやリース管理システムが提供されています。これらのシステムは、複雑な計算処理を自動化し、正確な財務報告を支援することで、経理部門の負担を大幅に軽減します。

以下に、システム導入における検討事項とメリットをまとめます。

検討事項 具体的な内容
既存システムの確認 現在の固定資産管理システムや会計システムが新リース会計基準に対応可能か、または改修で対応できるかを確認します。
新規導入の検討 既存システムでの対応が困難な場合、専用のリース管理システムの新規導入を検討します。
ベンダー選定 複数のベンダーの製品を比較検討し、自社の要件に最も合致するシステムを選定します。導入実績、サポート体制、費用対効果などを総合的に評価します。
データ移行計画 既存のリース契約データを新システムへ移行するための計画を策定します。
テストと検証 導入後、実際にデータを投入して計算結果や連携が正確に行われるか、十分なテストと検証を行います。
システム導入のメリット 詳細
業務効率の向上 複雑な計算処理や仕訳作成が自動化され、手作業による負担が大幅に軽減されます。
正確性の確保 人為的なミスを排除し、会計処理の正確性を高めます。監査対応もスムーズになります。
情報の一元管理 リース契約に関するあらゆる情報を一元的に管理でき、必要な情報を迅速に参照できます。
開示対応の支援 財務諸表の注記に必要な情報を容易に作成できる機能が提供されます。

社内体制の構築と従業員への周知

新リース会計基準への対応は、経理部門だけでなく、リース契約を締結する事業部門、法務部門、情報システム部門など、複数の部門にまたがる横断的な取り組みとなります。そのため、全社的なプロジェクトとして推進するための体制構築と、従業員への十分な周知・教育が不可欠です。

  • プロジェクトチームの組成: 経理部門が主導しつつ、関連部門からメンバーを選出し、プロジェクトチームを組成します。各部門の役割と責任範囲を明確にし、定期的な進捗会議を設定します。
  • 役割分担と責任範囲の明確化:
    • 経理部門: 会計方針の決定、会計処理の実務、財務諸表への反映、開示資料の作成、監査対応。
    • 事業部門: 新規リース契約の申請、既存契約情報の提供、リース契約の経済的実態に関する情報提供。
    • 法務部門: リース契約書のレビュー、法的リスクの評価、契約条項の変更に関する助言。
    • 情報システム部門: リース管理システムの導入・改修、既存会計システムとの連携、データ移行支援。
    • 財務部門: 割引率の決定に関する情報提供(追加借入利率など)、財務制限条項への影響評価。
  • 従業員への研修・教育: 新リース会計基準の基本的な内容、自社への影響、新たな業務フロー、システム操作方法などについて、関連部門の従業員を対象とした研修を計画的に実施します。特に、リース契約を締結する現場の担当者に対しては、契約締結時の留意点情報収集の重要性を徹底的に周知する必要があります。
  • 情報共有とコミュニケーション体制: 基準適用までの期間、各部門間で密に情報共有を行い、問題発生時には迅速に対応できるコミュニケーション体制を構築します。社内ポータルサイトでの情報公開や、Q&A集の作成なども有効です。

これらの準備と対策を計画的に実行することで、企業は新リース会計基準へのスムーズな移行を実現し、会計処理の正確性を確保しながら、経営への影響を最小限に抑えることができます。

新リース会計基準に関するQ&Aとよくある疑問

新リース会計基準の導入に伴い、多くの企業から様々な疑問が寄せられています。ここでは、特に頻繁に質問されるIFRSとの関係性や、具体的な適用時期と今後の対応スケジュールについて、Q&A形式でわかりやすく解説します。

IFRSと日本基準の主な違い

日本の新リース会計基準(企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」)は、国際財務報告基準(IFRS)のIFRS第16号「リース」をベースとして開発されました。そのため、基本的な考え方や多くの規定は共通していますが、実務上の運用や一部の細則において違いが見られます。

特に重要な違いは、短期リースと少額リースの取り扱いに関する選択的な免除規定です。IFRS第16号では、これらのリースについて、使用権資産とリース負債の認識を免除する選択肢が認められていますが、日本基準も同様の選択肢を設けています。

主な相違点を以下の表にまとめました。

項目 IFRS第16号「リース」 日本基準(企業会計基準第13号)
基本的な考え方 借手のオンバランス化を原則 借手のオンバランス化を原則
短期リース(12ヶ月以内) 認識免除の選択肢あり 認識免除の選択肢あり
少額リース(5,000米ドル相当以下) 認識免除の選択肢あり 認識免除の選択肢あり
借手の会計処理 使用権資産とリース負債を認識 使用権資産とリース負債を認識
貸手の会計処理 従来のファイナンス・リースとオペレーティング・リースを継続 従来のファイナンス・リースとオペレーティング・リースを継続
開示要求 詳細な開示を要求 詳細な開示を要求(IFRSに準拠)

上記のように、基本的な枠組みは同じですが、詳細な適用要件や実務上の解釈において、それぞれの基準設定主体(IFRS財団と企業会計基準委員会:ASBJ)が公表するガイダンスやQ&Aによって異なる場合があるため、自社の状況に合わせて専門家と相談することが重要です。

適用時期と今後のスケジュール

新リース会計基準の適用時期は、企業の会計期間によって異なります。日本基準とIFRSでは適用開始時期に違いがあるため、自社がどちらの基準を適用しているかを確認することが重要です。

  • 日本基準を適用する企業の場合
    日本の新リース会計基準(企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」)は、2026年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されます。ただし、これより前の事業年度から早期適用することも可能です。早期適用を選択する場合は、所定の手続きと条件を満たす必要があります。

  • IFRSを適用する企業の場合
    IFRS第16号「リース」は、2019年1月1日以後開始する事業年度からすでに適用されています。そのため、IFRSを適用している企業は、すでに新リース会計基準に準拠した会計処理を行っています。

今後のスケジュールとしては、適用開始に向けて、企業会計基準委員会(ASBJ)から実務対応報告やQ&Aが追加で公表される可能性があります。企業は、これらの情報を常に確認し、自社の会計処理に適切に反映させる準備を進める必要があります。

適用初年度の会計処理においては、原則として遡及適用が求められますが、実務上の負担を考慮した簡便的な取り扱いも認められています。企業は、適用開始日までに、これらの選択肢を検討し、自社にとって最適な移行方法を決定しておくことが求められます。

まとめ

新リース会計基準は、企業の財務状況をより透明に開示し、経営戦略全体に大きな影響を及ぼす重要な変更です。特に、すべてのリース契約を貸借対照表に計上する「オンバランス化」の原則は、企業の資産・負債構造やROA、D/Eレシオといった主要な経営指標に変動をもたらすため、その影響を正しく理解し、早期の対応が不可欠です。

企業は、この新基準への計画的な準備が求められます。既存のリース契約を詳細に洗い出し、影響度を分析することから始めましょう。プロシップなどの専門システム活用による会計処理の効率化、適切な会計方針の検討、そして社内での情報共有と従業員への周知徹底が重要です。

新リース会計基準への適切な対応は、会計処理の混乱を防ぎ、より正確な財務情報に基づく経営判断を可能にします。不明な点や複雑なケースについては、会計士などの専門家と連携し、自社に最適な対応策を講じることで、スムーズな移行と企業の持続的な成長に繋がるでしょう。

※記事内容は実際の内容と異なる場合があります。必ず事前にご確認をお願いします

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